カワセミのまなざし

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カワセミのまなざし

清流の中に濁りを見つけ出す

イタリア政党『五つ星運動』は輝ける星になれるのでしょうか⁈ 【伊総選挙に向けて】

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最近、世界的規模で生じている政治の流れに大きな《違和感》を感じていました。

その《違和感》をよく噛み締めてみますと、その本質が見えて来ました。

国際政治の『大きなうねり』あるいは『変革・変動』こそが《違和感》の真の姿でした。

これまで書いてきた4つの記事は、その『うねり』を自分なりに感じ・咀嚼し・判断したものでした。

大きな括りで言いますと

ナショナリズム」と「ポピュリズム」の台頭による極端な「自国ファースト主義」の蔓延です。

 

■4つの記事■

 

 

 大きなうねりの連鎖

  • 昨年6月の英国EU離脱決定に始まり
  • 同年11月にトランンプ氏が大統領選に勝利
  • 同年12月のオーストリアでは大統領選挙で極右「自由党」が惜敗したものの大躍進しました。
  • フランスでは極右政党「国民戦線」が支持率第1位に躍り出て、今年4月から始まる大統領選挙の台風の目になり
  • ドイツでは、絶対的人気のあったメルケル首相は、野党第1位の新党首シュルツ氏の登場により、支持率は逆転され、今年9月の総選挙は不透明になりました。
  •  3月15日のオランダ総選挙では、反EU・移民排斥を掲げる極右政党「自由党(PVV)」が、第2党に躍進しました。

写真左:ウィルダース蘭「自由党」党首 写真右:ルペン仏「国民戦線」党首

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今回、EU諸国内で第3番目の国力を持つイタリアでも、『大きなうねり』が起きようとしています。 

 

昨年12月に実施された国民投票が否決され、レンツィ首相は不信任を突き付けられました。

国民投票の否決を強く訴えていた野党第1党の『五つ星運動』は、この結果に勢いづき、遅くとも来年春までに実施される総選挙の主役に躍り出るのではないかと注目されています。

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 では、政党『五つ星運動』ついて少しだけ掘り下げていきます。

 

 政党『五つ星運動』とは

 

政党成立経緯

2009年10月、コメディアン”ベッペ・グリッロ氏”と企業家で政治運動家の”ジャンロベルト・カザレッジョ氏”によって設立されました。

(なお、カザレッジョ氏は昨年4月死去) 

政党の性格

欧州他国と違うことは、『五つ星運動』が右派でも左派でもないポピュリスト政党であることです。 

党の指針

五つ星』という名前に基本的な党の指針が示されています。社会が守り抜くべき五つの概念のことです。すなわち

  • 【発展】
  • 【水資源】
  • 【持続可能性のある交通】
  • 環境主義
  • 【インターネット社会】

 具体的な活動方針 

「反体制」を基本にし、大衆の不満に率直な賛同する『ポピュリスト政党』として、以下の政策実現 のため、インターネットやSNSを使い、積極的な政治活動を行っています。

1.雇用制度の安定化

2.EUからの離脱に対する国民投票の実施

3.議員制度改革

  • 国家議員の任期を2期10年までとする。
  • 国家議員の歳費を労働者の平均年収まで下げる。
  • 有罪が確定した人物は国家議員に出馬出来ない。   

4.縁故主義打破

5.環境保護(スローライフ

6.政府債務の再編       

 この政党が支持される背景

1.  20年に亘る経済の停滞があります。

1993年にEU発足以来、23年経過しましたが、イタリアは経済が好転することも無く、ギリシャに次いで欧州第2番目の債務国に陥落しました。

世界経済の停滞を救う筈だったグローバリズム、その象徴であるEUが機能せず、自国に利益をもたらさない事がはっきりして来ました。
失業率(特に若者)の高さが、如実にその事実を物語っています

  • 昨年8月の失業率は11.4%(ドイツ4.2%)
  • 若年層(15〜24歳)の失業率は35%
2.  政治腐敗(汚職の蔓延)

マフィアと結びついた汚職は後を絶たず、政治不信はかなり強まっています。

3.  縁故主義のはびこり

ネポティズモ(=縁故主義が壁となり、高等教育を受けた若者でもコネ無しでは希望の仕事に就くことは非常に困難な社会情勢があります。

 4.  市中銀行不良債権問題

経済の長期低迷は、当然ながら市中銀行不良債権を増加させました。大型増資や債務の株式化で対応しようと国とEUは考えていますが、中堅行以下の銀行の問題は根深く、地雷を抱えたままの状態が続いています。 

支持者層

雇用不安や増税に不満のある中流層下流層及び若者から急速に支持を集めてきました。 

政党支持拡大の軌跡 

  1. 2012年4月のイタリア統一地方選で、パルマ・ ミーラ・コマッキオなどの首長ポストを獲得。
  2.  同年10月の南部シチリア州の知事・議会選で比較第1党になり、地方政界で次第に存在感が増して来ます。
  3.  2013年のイタリア総選挙では、遂に、中道左派中道右派の二大政党連合を押し退ける勢いで、大躍進しました。単独政党別では、中道右派連合の盟主である「自由の人民(PDL)」を上回り、「イタリア民主党」に次ぐ第2党になりました。
  4.  昨年6月の首都ローマの首長選では、『五つ星運動』所属の女性市会議員が立候補し、ローマ初となる女性市長が誕生しました。北部の工業都市トリノでも同党所属の女性候補が勝利しています。

写真下:ローマ初の女性市長ビルジニア・ラッジ氏 f:id:Hatabou:20170321151812j:image

 

政党『五つ星運動』の今後について

 

政権獲得の可能性が高まる中、課題も見えて来ました。

創設者のグリッロ氏は過去に有罪判決を受けているため、党の内規で選挙への出馬が禁じられています

 

よって、首相候補者の選択が悩ましくなっています。

  • 今までは、グリッロ氏より首相候補として育てられてきたルイジ・ディマイオ氏(30)が本命とされていましたが、ここに来てロベルト・フィコ氏(42)が対抗馬として現れ、さらに第3の候補者としてサンドロ・ディバティスタ(38)も登場しました。
  • 政党『五つ星運動』は実体的な組織構造を持ってないため、政党の重要性が増すとともに、メンバーの個人的な野心と内部の軋轢も高まる可能性もあります

そのようなリスクは内在するものの、2013年のイタリア総選挙での大躍進以降、この政党の勢いは増すばかりです。

今年1月には、なんと「親EU派」に鞍替えするとのニュースが流れました。

イメージチェンジを図り、いよいよ広く国民の支持を得ようとする意図でしょうか⁈

 

 最後に

 

真の国民の痛みに寄り添い、国民の《期待の星》になるのか、あるいは単なる《ポピュリスト政党》にとどまるのか、これからの動向がとても気になります。

 

 


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