前回は「クラシックギターの音の魅力」を感じとって頂きました。
今回は美音の要因について,楽器の材質、弦、撥音方法の3点に絞って説明したいと思います。
名曲・名演奏の紹介もありますので、良かったら最後までご覧下さいね。(^.^)
材質について
クラシックギターは、表面板と側板・裏板では材質が違います。
表面板
★ 音を決める最も大切なパーツです。材質は2つです。
スプルース(松)
色は白っぽく硬めで、粒立ちのハッキリした透明感のある音がでます。ドイツ産が有名です。
シダー(杉)
色は赤っぽくやわらかで、暖かで艶のあるふくよかな音になります。
側板・裏板
★ローズウッドが圧倒的に多く、他に数種類あります。
ローズウッド
最もスタンダードな素材で、日本では紫檀(シタン) と呼ばれ家具等幅広く使われています。密度が高いため音の反射がよくとても人気があります。インド産が一般的です。
北米〜中南米かけ幅広く分布し、高級家具等に使われています。加工性が高く、乾燥にも優れています。ローズウッドより柔らかい音になります。
弦について
「ナイロン弦」を使用します。
正確には1~3弦が「ナイロン弦」4~6弦は「ナイロンに金属を巻いた弦」を使います。
さらに「張りの強さ」で3種類に分けられます。
「ライト・テンション」
張り感が弱めの弦です。 押さえ易く、右手も軽く弾けます。
音色は柔らかめで落ち着いた響きになります。
「ノーマル・テンション」
言葉通り、標準的な張りの弦です。最初はこの張りを利用することがベスト。迷っているときはこの弦に立ち還ることが大切です。
「ハード・テンション」
張り感が強めの弦です。しっかりとした芯のあるタッチ感が必要で、それなりの力が必要となります。
音にも張りが出て、輝きのある音色が得られます。
撥音方法(音の出し方)
クラシックギターの場合、爪で音を出します。指の腹で弾くことも出来ますが、次のメリットがありません。
爪を使い弾くと
- 音量が出せます
- 音がよく透ります
- 音色がタッチで多彩になります
- 音に艶が出ます
留意点もあります
- 自分の爪の質、形によって、入念な手入れが必要です。
- ある程度自分なりの使い方を身に着けるには数年かかります。
参考《爪の形とタッチ》 ※山岸クラシックギター教室さんの資料です。
まとめ
美音が生まれるのは
曲想に合わせて、「材質の違う楽器」と「張りの異なる弦」を組み合わせ、「爪のタッチ」に細心の注意を払うからです。
アコスティックギターとの違い
おそらく、ほとんどの方が区別がつかないと思いますが
主な違いは
- アコスティックギターは、スチール弦(ブロンズ)を使い、多くの場合、ピックで音を出すところです。
- スチール弦のため、きらびやかな音を楽しむ事が出来ます。
ご理解頂けたでしょうか(^.^)
《クラシックギター》
《アコスティックギター》
名曲・名演奏の紹介(2曲)
「アランフェス協奏曲」の第2楽章 (アダージョ)
- 作曲:ホアキン・ロドリーゴ
- 演奏:ジェイソン・ボー
- 演奏時間:11分28秒
ロドリーゴ(1901-1999)はスペイン生まれの盲目の作曲家です。
スペイン内戦で被害を受けた古都アランフェスの復興と平和への思いから、三楽章から成るギター協奏曲を作りました。
第2楽章(アダージョ) は神への祈りを表しています。
演奏は米国出身の注目ギタリストで、2015年にグラミー賞クラシック・インストゥルメンタル・ソロ賞を獲得した実力者(43)です。
数多い演奏家のライブ演奏の中で一押しです。
少し長めの曲ですが、こころを休めたいとき、いいかもしれませんね(^.^)
「早春賦」
- 作曲:中田 章
- 演奏:Claudio Tumeo
- 演奏時間:2分45秒
中田 章が1913年に、日本の唱歌として作曲しました。
長野県安曇野の“雪解した早春の情景”を謳ったと言われています。
今回の演奏は、日本の代表的作曲家”武満徹“の編曲です。
残念ながら、演奏者はイタリア人らしい事と4枚のCDを出している事以外、全く分かりません。でも、演奏はとても自分好みです。雰囲気があります。
彼は日本贔屓で、武満氏の編曲ものとか、坂本龍一の曲とか演奏しています。盆栽にも興味がある様ですね。
私事ですが、この曲を聴くと、長野を第二の故郷としていた義母のことを思い出すことがあります。
気弱になっていた義母に、たまたまこの曲を演奏したら、涙していました…
もう少しで春ですね。
いかがでしたか。これからも継続してクラシックギターの魅力をお伝えして行きたいと思っています。(^.^)