カワセミのまなざし

カワセミのまなざし

清流の中に濁りを見つけ出す

【号外】野鳥写真展「100年前にカワセミを撮った男」を観て来ました。  ~有楽町朝日ギャラリーにて~

f:id:Hatabou:20180921150125j:plain

 (苦労して作り上げた野鳥撮影用藁葺きブラインド

 

日経新聞の9月7日付朝刊で、ある記事に思わず目が止まりました。要約しますと

  • 野鳥撮影の先駆者であり、記録性と芸術性を兼ね備えた生態写真家『下村兼史』の生誕115周年を記念し、初めての本格的な展覧会が9/21~9/26に開催される。
  • 下村の足跡は北は北千島から南は奄美大島小笠原諸島まで及んでいる。写真機が今では考えられないくらい大きく、性能が悪かった時代、それを担ぎ、自然の奥深くに分け入った。映画を撮り、自ら文章を書き、絵も描く多才ぶりだった。しかし残念ながら、その功績は広く知られているとはいえない。
  • 100年前に日本で初めて撮ったカワセミ、2枚しか写せなかったルリカケス、松の木の上の巣でたたずむコウノトリ……。下村が猛スピードで飛び回る鳥を性能が良くない当時のカメラで撮ることができたのは、生態を十分に理解し、粘り強くシャッターを切る瞬間を待っていたからにほかならない。
  • その価値は記録性というだけにとどまらない。下村の写真は鳥の姿だけではなく、周囲の環境まで写し取っていた。鳥類写真というと、鳥の姿を単純に大きく捉えるものが多いが、下村構図には芸術作品とさえいえる美しさがある

 

という事で、週末にさっそく観て来ました。

 

f:id:Hatabou:20180921153553j:plain

 

受付には既に行列が出来ており、とても盛況でした。

 

f:id:Hatabou:20180921153854j:plain

 

下村兼史/しもむら・けんじ(1903-1967)とは

 

f:id:Hatabou:20180921162141j:plain


1903年佐賀県生まれ。1922 年、日本初の野鳥生態写真となるカワセミを撮る。1928年、鹿児島県荒崎のツル類の写真集が天皇陛下へ献上される。1930-39年、農林省鳥獣調査室に勤務しながら、日本各地の天然記念物や希少種の野鳥を撮影。1935年、英国での万国自然写真博覧会に出展した作品が国際的な評価を受ける。1939年以降は映画の監督、演出・脚本家として活躍するかたわら、野鳥観察紀行、鳥類図鑑などを多数執筆。

 

佐賀市の実家は資産家で、豪邸の庭は広く三つもの池があり、 一年を通じて野鳥たちが訪れ、渡りの時季にはオオルリコルリアカショウビンなどが顔を出し、池にはカワセミが訪れるのを下村は観察していたそうです。

下村は科学者か芸術家で身を立てようと思っていましたが、病気がちのため、父親からカメラをあてがわれ、「カメラ・ハンティング」と称して、野鳥を追い回すようになり、そこから野鳥撮影にのめり込んでいったそうです。

 

 どうやって日本初の野鳥生態写真となるカワセミを撮ったのか?

 
父から貰ったハンドカメラを自分なりに工夫を加えました。ただし、詳しくは会場にご来場して頂き、ご自身の目で確認して頂ければと思います。
  

       f:id:Hatabou:20180921163201j:plain

 

 
 

 ツツドリの雛に給餌するセンダイムシクイ(1930/5/20 富士山麓須走)

 
下村の撮影技術のレベルの高さが伺える作品がありました。
当時のカメラの性能では、シャッターを切った瞬間から乾板に露光されるまでにタイムラグあるため、その場面を撮るためには、捕らえたい瞬間よりも一瞬早くシャッターを押していなければなりません。しかも、一回のシャッターしか許されませんでした。
難題ながら完成度の高い、迫力ある作品に仕上がっています。
是非会場にいらしてご覧下さい。。本当に凄いですよ。
その他にも巣穴に飛び込むルリカケスなど、生き生きとした野鳥の姿が作品になっています。
 
 

愛機「グラフレックス」について 

 

  • 重さ3.8キロ(望遠レンズをつけると重さキロ)
  • もちろんカメラは全手動
  • シャッターは1回きり
  • 1日に撮れる写真はたった12枚のみ 

  

f:id:Hatabou:20180921171113j:plain

f:id:Hatabou:20180921171135j:plain

f:id:Hatabou:20180921171157j:plain

 

最後に

100年も前にこんなにも情熱を傾けて、野鳥撮影に挑んだ人物がいたとは、驚きと感動でした。

苦労の連続だったとは思いますが、強い信念の先に生まれた迫力ある写真にはこころ動かされました。

このモノクロの世界には、色彩豊かな世界の綺麗な写真とは一線を画す美しさがありました。

是非一度ご覧頂くことを強く願うばかりです。