今回から3回シリーズで、私が少し気になっている音楽をご紹介したいと思います。
ジャンルを問わず、ちょっと"CoolなSound"が耳に響きます。
暑い夏の夜に、まさにCool(おしゃれで涼しい)なひと時をいかがでしょうか。
昨年の夏、蒸し暑い夜 なかなか寝付くことで出来ず、radikoを使い久しぶりに「JET STREAM」を聞きました。
何となく聞き流していましたが、番組の半ば過ぎに、ある女性ボーカルにふと聞き耳を立ててしまいました。
「エッジは効いていないが、なんてまろやかで雰囲気があり、それでいてどこかサウダージな切なさが心地いいなあ……」
曲目はみなさんご存知の「Close to You」でした。一瞬、カーペンターズのカレンの歌声かなと思いましたが、あの曇りの無い澄んだ歌声とは違う魅力に心惹かれました。
翌日、再度radikoのプログラムを確認し、女性ボーカリストの名前が分かりました。
その名前は ”RUMER (ルーマー)”と言います。
ルーマーとは
31歳でデビューを果たした遅咲きのルーマーは、父親(英国籍)の仕事の関係で赴任していたパキスタンで7人兄妹の末っ子として誕生しました。(現39歳)
イギリスに帰国後、実の父は、なんと家族が雇っていたパキスタン人のコックであった事が発覚。そして彼女が11歳の時に両親が離婚。
数年後、彼女がインディーズ・バンド、ラ・ホンダで歌っていた頃には、母が乳がんと診断され、母親の面倒を見ながら、ゴミ収集所に置かれた車で暮らし、資格がないにもかかわらず地域の大学で演劇を教えたりして生計を立てていました。
2003年に母親が死去した後も、皿洗いやポップコーン売りなどあらゆる仕事をこなしながら、ロンドンのどん底の生活の中で地道に音楽活動を続け、ついにデビューを掴みました。
デビューのきっかけとなった「Slow」の大ヒットから、2011年にはイギリス最大の音楽賞、ブリット・アワードで「最優秀新人賞」「最優秀ブリティッシュ女性アーティスト賞」2部門にノミネートされるなど、遅咲きですが、確かな地位を築き上げました。
ではデビュー曲「Slow」
いかがでしたか?
「それはまるで上質なシーツに包まれるような、優しい包容力に満ち溢れた体験……」などとコメントする方がいますが、なるほどそうですね。
バート・バカラックとの出会い
ルーマーの夫「ロバート・シラクバリ」は、アレンジャーかつ作曲家でもあり、バカラックとも長く仕事をこなしてきた人物。したがって、バカラックに彼女の歌声が聞こえたきたのも当然のことで、「自分の曲を歌ってほしい」とわざわざカルフォルニアまで彼女を呼ぶほど、その歌声に惚れ込んでしまったようです。
ではバカラックも参加したデビューアルバム「シーズンズ・オブ・マイ・ソウル」から
<アレサ>
では最後に私が初めて耳にした曲です。
ルーマーの最新アルバム「This Girl's In Love:A Bacharach & David Songbook」から
(They Long To Be) Close To You
この憂いに満ちた歌声には、自分の半生が大きく縁取りされているのでしょうね。
いかがでしたか? 世の中にはこんな素敵なボーカリストがいるのですね。
なんだか嬉しくなりました。