カワセミのまなざし

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清流の中に濁りを見つけ出す

人工知能(AI)進化の先に辿り着く「シンギュラリティ」について ~その最前線~

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記事最新更新日:2017/7/18

初めに

これまで、AI関連の記事を2つ書きました。

ひとつは

 シンギュラリティ”って何でしょうか… 近い将来必ずやって来るらしいです。 - カワセミのまなざし

 もうひとつは

 工知能(AI)進化に不可欠な「ディープラーニング(深層学習)」について ~その最前線~ - カワセミのまなざし

です。

そして、今回は「シンギュラリティ」の最前線ついて、できるだけ分かり易く書いて行きたいと思います。

 実は、予想を大きく上回る速度でAIは進化しています。 

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先日放映されたNHK特集で、「AIの進化」ついて興味深い内容が明らかになりました。

内容を要約すると

今年春、将棋界の最高位・佐藤天彦名人と最強の人工知能が激突する電王戦2番勝負が行われ、(人工知能の前に、これまで対戦してきたプロ棋士は全員屈してきた。)最後の牙城だった佐藤名人も完膚なきまでに叩きのめされた。もはや人間など敵ではなくなった。人工知能は、モンスターのような進化を遂げている。

人間の知性を越える人工知能が、すでに現実社会に進出している。具体的な例として以下の4つ。

  • 名古屋のタクシー会社では、客を拾える確率の高い場所を指示する人工知能を導入、乗車客の数を大きく伸ばした。
  • 人工知能が、人間を評価するという事態も起こっている。シンガポールのバス会社では、事故を起こす危険性の高い運転手を人工知能が見つけ出す。
  • アメリカでは、過去の膨大な裁判記録を学んだ人工知能が、被告の再犯リスクを予測し、刑期の決定などに関わっている。
  • 日本のある企業でも、退職の予兆がある人を、人工知能が事前に察知するというシステムを導入した。

以上の通り、私達の想像をはるかに超えるスピードでAIは日常生活に変化をもたらしているのです。

 

では本題です。

シンギュラリティの名付け親である“レイ・カーツワイル”のインタビュー記事を参考に、その最前線を探りたいと思います。

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脳科学を専門とする吉成真由美さんとの対談(今年4月)を通じ、カーツワイル氏は極めて興味深い事を語っています。

今回はその中でも特に注目される発言を2つ取り上げたいと思います。

※なお、カーツワイル氏発明家・未来学者で、実業家です。現在はグーグルの技術部門のディレクターとしても活躍している米国でも稀有なブレーンです。 

<ポイント1>

シンギュラリティ(=コンピュータの能力が人間の能力を超えること)到来時期が、2045年から2029年に早まる

 

<その根拠>

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 ◉人類は過去から現在まで「線形的な将来予測」をしてきました。

  • 線形的な思想」すなわち「過去がこうだったから今度もこうなる等、物事が全てひとつの直線に伸び、同じ直線をたどれば同じ結果が出る」という考え方です。
  • もっと実践的に捉えると、過去起きた事象を「抽象化」あるいは「一般化」させ、それを「パターン」として導き出し、そのパターンが現状と当てはまっていると、ある程度の未来を予想できます
  • その線形思想がサバイバルに役立ってきました。だから、それが脳の機能として定着していったのです。

◉しかし、情報テクノロジーは線形的な発達ではなく、「指数関数的な発達」をします。

  • すなわち、「直線的ではなく、放物線のような右肩上がり的な発達」を遂げることを意味します。

AIも、まさに指数関数的に発達しています。

  • 6年前には、「AIはまだ犬と猫の区別さえつかないじゃないか」と批判されましたが、現在は犬と猫の区別はもちろん、コンピュータの方が人間よりイメージ認識力にすぐれている場合があります
  • 非常に深いパターン認識力を必要とする碁も、ほんの数年前まで「AIが人間のチャンピオンに勝つことは不可能じゃないが、すくなくともあと100年は無理だろう」という見方がありました。しかし、2016年の段階で、AIが人間の碁名人に勝ってしまいました。
  • 2011年に、IBMのコンピュータ・プログラム「ワトソン」がアメリカの人気TVクイズショウ「ジョパティ!」で世界一の回答者2人を破りました。ユーモアや語呂合わせ、なぞかけにジョーク、さらには比喩を理解する能力を備えてました自力でウィキペディアほか2億ページにものぼる人間の自然言語文書を読み、知識を積み上げていきました。小説を書いたり作曲することも時間の問題と言われています。

 この「指数関数的」な発達により、コンピュータが全ての分野において人間の脳力を超えるようになるのが、当初の2045年から2029年に早まるとカーツワイル氏は予測しました。

 

 <ポイント2> 

シンギュラリティが到来すると、人間の思考力は無限に拡大していく。

  

<人間の脳力を超えたコンピュータを手に入れると次のようなことが起きます>

◉ まず、寿命が格段に延びます

  • 人間がもともと備える自己防衛力の1つが免疫系ですが、老化に伴い顕在化してくる疾患に対してには役に立っていません。進化は長寿を選択してこなかったからです。自然界にある食料の量には限界があるし、25歳を過ぎて子どもを育ててしまえば、進化上もうお役御免。実際1000年前、人間の寿命は19歳でした。1800年でも37歳です。
  • しかし、発達したAIは、人間の免疫力を強化することが出来ます。今のところ、スマートフォンのようなデバイス(機器)は、主にコミュニケーション手段として使われています。しかし、2030年までには、これらのコンピュータ・デバイスが血球ほどの大きさになります。血球サイズのロボットは、血液中に入り免疫力を拡張してくれます。結果として、人間の寿命は延びるという訳です。

◉また、人類は拡張現実(AR)を日常的に体験することになります。

  • 今はARデバイスを眼や耳や腕に装着していますが、2030年代になればそれらを神経系の中で行うようになります。すると、現実と寸分違わない世界を脳内に作ることもできるようになります。

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一番重大なのは、思考などの高次タスクを担う脳の新皮質を、直接インターネットのクラウド(コンピュータ・ネットワークのこと)に繋げるようになることで、われわれの思考そのものが拡大するということです

  • 約200万年前、われわれが類人猿から人類に進化する段階で新皮質が拡張し、前頭葉が大きくなりました。新皮質は多層構造になっていて、新しい層が上に追加されるように出来ています。そして、上の層になればなるほど、より知的で抽象的な高次のタスクを行います。これにより頭蓋骨も膨張したため、出産時のリスクも大きくなりました。これ以上大きくなると出産が不可能になります。それでも、十分な新皮質の拡大が言語の誕生に繋がり、芸術や音楽が生まれました。
  • われわれは、200万年前と同じような「進化」を遂げる時期に来ています。皮質の最上層をクラウドにつなげることによって、新皮質が「量的」に拡大するわけです。ちょうど200万年前に、新皮質の拡大が行われていた時と同じように。
  • しかも、今回は「一度きり」の進化に留まりません。クラウドは情報テクノロジーですから、指数関数的に拡張していきます。つまり、毎年パワーが倍増していくのです。

したがって、人類の思考力は無限に拡大していくことになるとカーツワイル氏は考えています。

 

最後に

 

 以上2つのポイントは、私たちの生活・生き方を劇的に変化させる因子になります。全く想像もできない未来です。そんな将来がすぐそばに忍び寄っているのです。あなたは信じますか? 

 

シンギュラリティに向けた経済界の動向(2017/7/18)

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ソフトバンクグループの孫正義社長は、近い将来「人類を超える超知性」が現れるとの確固たる認識を持っています。

シンギュラリティが到来した時、超知性が暴走する事無く、不治の病を無くし、事故の起きない社会インフラを作り、大災害から人びとを守る基盤を今のうちに構築したいとの思いから、思い切った情報改革を宣言しています。

  • その為に、半導体設計大手のARMホールディングス」を日本企業として過去最大の3兆3000億円で買収しました。
  • また、米画像処理半導体メーカーのエヌビディア」の株式40億ドル(約4500億円)サウジアラビアなどと共同で発足させた大型ファンドを使い保有することになったと報じられています。

孫社長はこの2社を通じて、情報改革”の中核をなす「AI」「スマートロボット」「IoT」の三分野を大きく成長させたいとの強い思いがあります。

孫社長の長期的経営戦略には、いつも驚かされます。

 

いくつもの不可能を成功に導いてきた孫社長の手腕に、これから大いに期待したいですね。